1930年9月

青函航路に第二青函丸が就航

第二青函丸が1930年9月1日から青函航路に就航した。
1926年に就航した第一青函丸は主機などに欠陥がありしばしば欠航した。しかし輸送力が大きいため欠航の影響が大きかった。
これを解決するため同型船を増備することとなり、1929年6月5日に川崎造船所へ発注された。建造費は878,500円で、1930年8月5日に竣工した。

第一青函丸の運航実績をもとに、第二青函丸はいくつかの改良が施された。[b]

• 主機を、川崎造船所製([c])の衝動タービンとした。出力は2613馬力
• ボイラーを、丸ボイラー(舶用スコッチ型[c])に変更した。車両甲板の配線を考慮し、小型丸ボイラーを両舷側に横向きに2個ずつおいた
• 第一青函丸は車両甲板の周囲を高さ1.8mの舷墻(ブルワーク)で囲っていたが、海が時化ると波が入り、貨車を破損することもあった。
  そこで第二青函丸は、船の長さを1.2m延ばし凌波性を上げ、船首楼を高くして前部の車両を覆った([c])。またブルーワークも高くし、前部(船首楼と遊歩甲板の間)を3.2m、遊歩甲板と後部船橋の間を1.981mとした
• 第一青函丸になかった船首舵を取り付けた。この舵はコドラント付きだった。船員はあまり使用しなかった
• 枕木にヒノキ材を用いた

主要寸法は、全長 112.78m、幅型 15.85m、深型 6.096m、満載時の喫水 3.96m、総トン数 2493トン。車両甲板の配線や積載できる貨車の両数(15トン積み貨車が43両)は、第一青函丸と同じ。[b]

第二青函丸の増備で輸送力は安定したが、スピードが翔鳳丸型に比べ遅いため(1日に1往復半しかできなかった)、航海中の追い抜きや、出入港設定の複雑化、岸壁使用の支障など問題があり、使い勝手が悪かった。[b]
そこで翔鳳丸型とスピードが同じで1日に青函間を2往復できる貨車航送船を新造することとなった。その第1船の第三青函丸は1939年10月に就航した。[b]

参考文献

• [a] 日本国有鉄道,1971,『日本国有鉄道百年史 第8巻』,日本国有鉄道 (復刻版,1997年,成山堂書店)
• [b] 山本 熙,1960,『車両航送』,日本鉄道技術協会
• [c] 古川 達郎,1988,『鉄道連絡船100年の航跡』,成山堂書店