米国東部の二つの大手鉄道貨物会社、CSXとコンレール(Conrail)が合併すると1997年3月7日にコンレールが発表した。CSXは合併で得るコンレールの路線の半分近くをライバルのノーフォークサザン鉄道(Norfolk Southern)に売却する。
1997年4月8日に発表された計画の詳細によると、ノーフォークサザンは59億5千万ドルをコンレールに支払い、1996年度に21億5千万ドルの収入があったコンレールの路線を得る。またCSXは43億5千万ドルをコンレールに支払い、1996年度に15億6千ドルの収入があったコンレールの路線を得る。コンレールの株主は一株当たり115ドルを6月2日までに得る。
これにより、CSXは23の州で6,500km([i])の路線網、ノーフォークサザンは21の州で11,600km([i])の路線網を持つことになる。
コンレールはこの計画を受け入れることを3月3日に決定した。
そして6月2日には、CSXとノーフォークサザンが共同出資した緑取得会社(Green Acquisition Corp.)がコンレールの全ての株式を購入した。これは陸上交通委員会(Surface Transportation Board, STB)の提案に従っての措置。[f]
CSXとノーフォークサザンの両者はこの合併・分割計画を1997年6月23日に、陸上交通委員会へ提出した。1998年6月8日までに同委員会は手続きを完了する。なお同委員会は1997年7月24日に計画を承認したが、手続きがすべて終わったわけではない[f]。
なお連邦の運輸省長官 Rodney E. Slater氏は1997年8月21日に、安全面の問題、競争に与える影響、列車の運行や経営の面で実際に可能なのかなどを、FRAがこの計画に関して調査すると発表した。調査結果は1998年2月に陸上交通委員会へ提出される。[f]
そして、陸上交通委員会(Surface Transportation Board, STB)は1998年6月8日に、コンレールの分割・合併を承認した。コンレールは1998年9月1日に分割・合併され消滅する。[g]
陸上交通委員会の副委員長 Gus Owen 氏は、UPとSPの合併で問題が生じたため、今回の コンレール の件では分割・合併後 5年間、陸上交通委員会が両者を監督する、と述べる。Norfolk Southern と CSX Transportation の2社は陸上交通委員会へ、定時率など重要な事項についての報告書を日毎・週毎・月毎に提出する必要が出てくる。[g]
また1976年にコンレールが誕生して以来、アメリカの北東部でコンレールの独占状態が続いていたが、これも終わる。2社は、Canadian Pacific 鉄道や他のいくつかの小鉄道に、自社の路線での運行権を保証せねばならない。[g]
今回の措置で、高速道路から年間に100万台のトラックが減るだろうと、2社は予言している。[g]
陸上交通委員会の公式の決定は1998年7月23日に発表される。CSXの幹部の一部は、UPがSPを合併した際に発生したような問題を避けるため、実施が遅れるかもしれないと話したが、NSは9月1日からずれ込むことはないとする。[g]
しかし、結局 合併後の運営が混乱することを避けるため、合併は1999年6月1日に延期された(1999年1月20日に発表)[g]。ユニオン=パシフィック(UP)社がサザン=パシフィック(SP)社を合併した後に運営が乱れ、顧客に多大な損害を与えたことも影響していると思われる。
合併は予定通り1999年6月1日に実施された[j]。
なお1980年以来、大鉄道会社の合併は同委員会へ9件 提出されている。その内 否決されたのは、1981年に提出されたサンタフェ(Santa Fe)とサザンパシフィック(Southern Pacific)の合併計画の1件だけである。