上野輸送(株)は、内航タンカー最大手の上野運輸商会のグループ会社で、陸上輸送を専門にしている。タンクローリーを1430台保有して、全国の石油基地47ヶ所の間で石油・ケミカル製品等を輸送している。
同社では、1995年の消防法通達により危険物の国内輸送にISO規格の海上タンクコンテナが使えるようになったことを受け、ISOタンクコンテナを使った鉄道(JR貨物)輸送の検討を開始した。ISOタンクコンテナは以下の利点がある。
そして1996年10月に、ISO規格の20フィート海上タンクコンテナの鉄道輸送を名古屋(タ)〜東京(タ)間で開始した。四日市の工場から千葉まで一般貨物の化成品を輸送する。17,500リットルの保温機能つき海上タンクコンテナ3本を用いて、1日1本のペースで発送している。
その後、新潟の港湾地区から茨城県鹿島地区への危険品輸送を、新潟(タ)〜隅田川間で開始した。1998年4月からは四日市と栃木・群馬との間で一般貨物と危険品の輸送を始める。それ以降は、8本の海上タンクコンテナが鉄道輸送に投入されることになる。
鉄道による海上タンクコンテナ輸送の利点として同社は以下を揚げている。
この輸送方式に投入するタンクコンテナを、近いうちに20〜30本、将来的には100本前後に増やす意向だ。しかし現状ではJR貨物の海上コンテナ輸送に制約が多い。海上コンテナの取扱駅を増やし、取扱可能区間を拡大することを、同社はJR貨物に望んでいる。
参考ページ: JR貨物の海上コンテナ輸送
参考文献: 運輸タイムズ,1998年2月23日