本社が名古屋市南区にある天狗缶詰(株)は創業が1923年(大正12年)。生産量が全国の60%を占める豊橋市のうずら卵を原料にした缶詰や、鶏卵・銀杏・マッシュルーム・タケノコなどの缶詰を、学校給食やファミリーレストランなどの業務用に製造している。工場は愛知県内に3ヶ所(名古屋・白鳥・豊川)ある。他に、最近では海外生産も増え、全生産量の40%になっている。
同社の輸送軌間別の出荷比率は、トラックが90%で、他に鉄道コンテナ8%、海運2%となっている。鉄道コンテナは豊橋駅から月間 12フィートコンテナで、札幌(タ)へ約20個、東北へ約20個、福岡(タ)へ約50個、発送している。福岡へ送ったものの一部はトラックで広島へ逆送している。札幌(タ)と福岡(タ)に発送した荷物は、発送から2日後の配達になる。
運賃は、500km以上ならトラックより鉄道コンテナの方が安いということだ。また缶詰は保存期間が長いので、出荷を計画的に行なえばスピードはあまり問題ない。
コンテナは通常は12フィートのJRコンテナを利用している。しかし12月から3月にかけての冬季は、缶詰が凍結して品質が劣化することがあるので、日本石油輸送から冷蔵コンテナ(UR形)をリース使用している。
出荷量は東京と大阪向けが多いが、鉄道コンテナ輸送はコストやスピードが劣る。このため、道路事情の問題はあるがトラックを利用している。また環境問題も考慮して鉄道コンテナ輸送を増やしたい意向だ。同社は1〜3トンの出荷が多いので、これらの輸送単位へのJR貨物の対応がカギだと、同社の久保課長は話している。
なお豊橋駅は1998年10月ダイヤ改正で自動車代行化された。
参考文献: 運輸タイムズ,1997年12月22日